支援者インタビュー|中町 勇輝
デザイン
プロフィール
中町勇輝(kumu)
大阪府高槻市出身。京都造形芸術大学出身。大学時代に滞在した鯖江市での「いい商品が売れない」ことへのモヤモヤを解決するため、新卒で中小企業のデザイン経営を推進する「株式会社SASI」に入社。デザインとマーケティングの目線でクライアントのブランド支援を行う。2023年7月に独立し、兵庫、大阪、京都を中心に活動。
実績
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ものを作った先にある「人の笑顔を生み出すこと」が最大のやりがいだった
ーー幼少期の勇輝さんはどんな子でしたか?
記憶がだいぶ曖昧なんですが…幼稚園の頃とかは竹馬とかかけっこをするよりも、砂場でキレイな泥団子を作る方が好きでした。
普通の土ではなく、粒度の細かい砂を使っていかに綺麗に出来るかこだわってましたね。外に敷いているカーペットを退けた時に下から表れる、ああいう細かい砂です(笑)
泥団子はすぐ壊れてしまうものでしたけど、ものをつくること自体が当時から好きだったんだと思います。
小学生になって、漫画の模写をして褒められたっていうよくある原体験を経て、絵を描くようになりました。元々絵を描くのが好きだったわけではなかったです。
ーー素敵な原体験ですね〜!ちなみになんの漫画ですか?
ドラゴンボールの最終巻です。最終巻から買いました(笑)
ーー最終巻から!(笑)ご友人からのオススメとかだったんですか?
いえ、高校生までは芸術系に関心のある友人は少なくて。こっそり絵を描いてこっそりものを作っていたような気がします。
自分が手を動かし、何かを作ることで、人から喜んでもらえる。
「ものを作ること」以上に、その先にある「人の笑顔を生み出すこと」にやりがいを見出していました。
ーー進学時にも芸術を突き詰めようとされていたんでしょうか?
進学を決める時に、勉強以外に頑張れそうなことはないかなと思って、京都造形芸術大学(現 京都芸術大学)へ進学しました。
そこで今でも仲の良いAくんと出会い、人生初めてのシェアハウスを経験しました。
計5人だったんですが、僕とAくん以外の3人は京都大学の年上。入居日に初めてその3人と顔を合わせたほど、緩〜く始まったんです(笑)
ーー決断力がすごいですね!怖くはなかったんですか?
その時は「実家を離れられるなら一回やってみるか〜」くらいの気持ちでした。
1室和室があってそこに住むことになるんですが、入居当日とりあえず2人とも和室に通されただけかと思いきや、寝る準備を始め出して。
Aくんとお互い「あ、ここなん?」と、同室なことを初めて知りました(笑)
入居前からの決定事項だったみたいなので、ちゃんと確認しておけば良かったと思いましたね(笑)
ーーすごい経験(笑)卒業までシェアハウスは続いたんですか?
大学2年生から1年間だけです。
年度の最後の方に、もう一年住むかどうかの会議があって、Aくんと共に離脱しました(笑)
ーー大学在学時から現在のご活躍に至るまで、どういった変遷がありましたか?
福井県の鯖江市で開催されたものづくりイベントに、サークルの一員として参加したことが後々大きなターニングポイントになります。
鯖江市はメガネフレームの産地で漆器も扱っていたりするのですが、中国製品に価格で押され始めていて…
生産者の顔が暗くなってしまっていることとか、第三者から見て斜陽産業っぽく見えてしまうことに悲しさを感じて。そのままモヤモヤを抱えつつ、就活の時期を迎えました。
東京のWEB制作企業に内定を貰ったんですが、そのモヤモヤが残っていたことから無意識にデザイン会社の求人募集を見ていました。
ーー地方産業の在り方に、漠然とした想いを抱えておられたんですね。
そうなんです。そこで出会ったのが、新卒から4年間お世話になった 株式会社SASI です。
よく読んでいた地方のブランディング事例は、パッケージ作成やコンテンツ作成の話が多くて、その先の効果とか事業者が支援を通して本当に元気になっているのかとかが見えなかったんですけど、
SASIは地方のブランディングだけでなく、もっとコアの部分に携わっている会社だと感じて。
入社したらモヤモヤが解消されるかもしれないと思い、話を聞きに行きました。
面接を受ける中で、新卒採用をしていないことが判明しましたね。応募前に気が付いていたら応募していなかったので良かったんですけど(笑)
落とされるつもりで代表と思いの丈を話し合った後、無事入社に至りました。
ーー現在は KUMU として独立されたと伺いました。このタイミングで独立を決断された背景を教えてください。
これまで 事業者と一緒に取り組む中で感じたのは、事業者は話し方や接し方が柔らかくても、考え方や扱う言葉には必ず ”芯” があること。
めちゃくちゃ筋が通っているなと、その事業者と対等に話せるようになりたいと、考えるようになりました。
僕が社員としてやれていることに対して、事業者の感情としては「助かっている」と思ってくれているかもしれないけど、立場的にはまだまだ「社員が手伝ってくれている」感覚に留まっているのではないかな…と、想像かもしれないけど、感じることがありました。
無下に扱われているとかではなくて。
ーー何か違ったことがしたいからではなく、あくまでも事業者と対等に話したい想いからだったんですね。
そうですね。会社で培われたこの ”事業者と一緒に取り組む” スタイルは、当時も今も根本的に好きです。でももう一段階先に進めない引っ掛かりが、経営者と対等ではない感覚にあって。
要は自分の責任で仕事をするってどういうことなのか、端っこの方でもいいから自分で感じたいなと、独立を決断しました。
相手を尊重しつつ、チームとして盛り上げて、デザインに落とし込む
ーーそういった想いは、ご自身が表現されるデザインにも影響するものでしょうか?
デザイン表現の前段階、相手に話しておくべきことの理解が深まりました。
単純に「面白そうだから」だけでは提案しないですね。面白さは大切にしつつも、デザインした先に何があるのかを見据えるようにしています。
なんと言っても実施するのは事業者自身。デザインがあって、コンテンツがあって、それでその先どうなるのか?は必ず気になるはずで。
面白さに ”納得” して、さらに意欲的になってもらうためにはどうしたら良いか、はかなり意識するようになりました。
なので、話し方が一番変わったかもしれないですね。
ーーなるほど。弊社HPの作成時にも、丁寧に対話をしてくださった印象があります。
創生アドバイザリーのHPは、元々LPのような一枚ものを想定されていましたよね。
これまで僕自身の中で、創生アドバイザリー=亮さんだったのが、メンバーが増えコミュニケーションを重ねる中で、集団に見えてくる感覚があって。
せっかくのタイミングなのでチームを見せませんか、と亮さんに提案しました。
ーーチームメンバーとしても客観的にも、様々な目線で弊社を捉えてくださったからこそ、出来上がったHPだと思っています!
独立のきっかけでもあった「経営者と対等に話したい想い」が早速表れたのかもしれません(笑)
全部できているとはまだまだ思えていないですが、大切にしていきたいです。
ーー表現をアウトプットするにあたって大事にされていることはありますか?
自分だったらこうしたい!を提案時に盛り込むことですかね。
〇〇さんのためにこれをやりましょう!だけだと距離感を感じてしまう。〇〇さんと同じチームだと思っているからこそ、僕ならこうしたいという視点を提示します。
そのために、いち早くグルーヴ感を持てる・持ってもらえるような関わり方を意識しています。
ーーその人だったら、自分だったら、を積み重ねて形にするんですね。
やりたいことの押し付けは絶対にしないです。クライアントにも、クライアントのエンドユーザーにも喜んでもらえることがやりがいになるので。
特にBtoCでは、顧客含めて一体感ができるようなブランドを提案することが多いですね。
チームで作ったものを人に届け、成果を出す。事業者の輝きは良い雰囲気と成果から生まれる。
ーー物事や人の本質を大切にされている印象がありますが、意識されているのでしょうか?
ものを作るにあたって、ある程度成果を出すことは重要だと思っていて。
さっき鯖江市の話をしましたが、日本酒を作って販売するプロジェクトだったんです。
実際僕が入ったのはプロジェクト開始から2−3年目くらい。できたものを販売しよう!の段階でした。
学生で売る術もわからず、なんせ未成年だったのでお酒の知識も無く(笑)
作っているときは意欲的で盛り上がっていたらしいのですが、売れない状態が続くとメンバー内の雰囲気も重たくなり…
作ったものをちゃんと「人に届けること」はお金がどうこう以上に大切だと感じました。
作ったものが届くことによって、作った人もエンドユーザーも満たされ、ちゃんと売上に繋がる。
どれが欠けてしまってもいけない感覚から、逆算的に本質を考えることの大切さに気が付けるようになっていったと思います。
ーーなるほど、経験から逆算的に。
事業者が作ったものがユーザーに届いて、またその次の展開が起こっていく、その瞬間に立ち会えていること自体がすごく楽しいです。
スポットが当たるのは事業者で、支援を通して楽しそうにされている中でチームの雰囲気も良くなる。僕はその場にいる一員でありたいです。
ーー幼少期は作り手がご自身単独だったのが、今ではチーム・事業者になっていますね。
そうですね、想いの構造は全く変わっていないです。
他の人が脚光を浴びている手助けを、こっそりやっているのが好き。でも人と話すことも好き。目立ちたくないけど人と話したい、なんか矛盾を抱えています…(笑)
ーー会話をものづくりのブラッシュアップに活かしておられて、好きなことと強みが上手く合致している気がします。
そう言ってもらえて嬉しいです!