【中小企業支援】思考と実践がものを言う AI 時代、マーケ×採用現場から。
コンサルタントマーケティング・PR人事
日々、あらゆる業界の経営者と相対する私たち。
案件ごとに専門の支援者が集まるため、
今あの仲間が何をしているかは知っているけど、どうやっているかは意外と知らないもの。
中小企業支援の実情と、支援者が隠し持った熱い思いが覗ける、
ちょっとしたコタツトーク。
地方発信ジムのマーケティング事例から
大樹「独立する前から2年間携わっていた、ジムの経営支援の話をしようかなと。
コロナ禍のニーズに合わせたジムで、売上や出店のペースを加速したいタイミングだったんですけど、なかなか目標と現状の差が埋まらないことが課題でした。
僕がやってたのは、フランチャイズ※の集客の仕方を考えたり、オーナーさんにお渡しするマニュアルの作成をしたりとかですね。」
※本部の有する商標や販売・経営ノウハウなどを加盟店に与えるかわりに、ロイヤリティを対価として、加盟店が本部に支払うシステム※
「僕は当時この仕組み作りに悩むことがあって、孝夫さん集め方のイメージありますか?」
孝夫「コンビニとかのフランチャイズ見てると、誰でもできる!保証金が少ない!で、最終儲かりますがキラーワードですよね。」
大樹「確かに、認知さえ得られれば引き合いはある感じでしたね。
比較サイトへの掲載とかリスティング広告は、状況と成果とがうまく噛み合わず、コツコツと SEO を頑張り始めました。
正直、SEO ってなかなかうまくいかないんですけど、
狭い領域にセグメントを切ってあげると、 LP からの問い合わせは1日1件ぐらい取れてくるようになりました。」
孝夫「1日1件はすごいなぁ」
大樹「この後はオーナーの選別に入っていくんですけど、一番大事な事って分かりますか?」
孝夫「覗かないこと…」
大樹「それも、ちゃんと話が通じる人であることとかもすごい大事なんですけど(笑)
やっぱり一番は開業エリアですね。
駅前とか集客できるエリアでないとどうしても難しくて、1日に何件も問い合わせが来たとしても全部が全部というわけにはいかないんです」
初めてのロードサイド店舗は最後まで集客は苦労してたり、集客は人流が最重要ポイントでした。」
孝夫「都心部の一等地であれば駐車場にした方が儲かる。のような話もあるとは思いつつ、マンションのテナントが一部だけ空いたとかの課題に対してはいいですよね。」
大樹「まさにそうですね。ホテルの空き部屋に入れられたり、雑居ビルを活用できるのも良い点です。」
某整形外科クリニックでの採用事例から
孝夫「僕は最近携わっている採用支援の話をしますね。
創業されて十数年のクリニックなんですが、
高齢者の医療自己負担率が上がってきてる中で、顧客の世代交代が行われないまま運営していくのは結構怖いと。
新サービスの展開の選択肢にリハビリテーションが挙がってきて、理学療法士を採用したい!という流れでした。」
「まず、ポイントとしては
・立ち上げから運営に至るまで大部分は税理士法人さんにおんぶに抱っこ状態だったこと。
・理学療法とは?を先生さえ知らない状態からスタートしたこと。
「僕の経歴上、採用を理解しているので手法は広く提示しつつ、無料広告から始めてみました。
医療業界は転職する時にわざわざ Indeed を見なくても
『ちょっと転職考えてんだよね』って友達に言うと転職先の候補が見つかるような世界観。
なので文面だけで多くの人に当たってた時は、全く刺さらなかったんです。
ですけど、それでも転職先に出会えなかった人が
次に選択するのが転職エージェントだと、方々駆け回って見えてきたんですね。」
大樹「なるほど。有料広告で良いことが羅列されている以上の情報を手に入れて、転職を決めたいと思っている方がいらっしゃったんですね」
孝夫「そうです。
ただ、かけられる費用との相談もあるので、医療点数の計算方法を自分で勉強して、税理士さんにも確認して、ちゃんと自分で内情を理解した上で『今、人材紹介を導入するべき』と提案。
そこから2ヶ月で新人の理学療法士さんを1人採用できました。」
今まで難なく対応してたところがキャパオーバーしてしまうような現代社会なので、
餅は餅屋で、適切に支援者を使って効果を得てもらうことに対する効能をお伝えすることが出来たし、
今まであまり投資対効果を意識していらっしゃらなかった先生にも、少しご理解いただけたっていうのは良かったところです。」
「ただただ採用の知見があって採用戦略を考えられるというだけではなく、
これからは ”消費者心理に寄り添った採用支援” を実行していかないとと思いました。」
大樹「元々知見の無い業界でも、いかにキャッチアップするかっていうのは意識していたところですか?」
孝夫「そうですねー。この事例は少し特殊な業界ではあるんですけど、どの業界でも実は結構近いんじゃないかなと思います。
経営者さんをどう見せるか、経営者さんの頭の中をどう整理するか。
その辺りを専門分野で巻き取れれば、経営者さん自身がちょっとすっきりして、いい顔できるんじゃないかな、なんて。」
大樹「入社を決めてくれた人からして、先輩もいない環境ですよね。
そこに入社を決めるのはかなりハードルがあるようにも思えるんですが、上手くいったポイントってあるんですか?」
孝夫「見せ手側の工夫としては
経営者の想いと、それが求職者にどう刺さるかをこちらで整理して、病院のコンセプトと『今なぜあなたを求めるのか』のようなことを合わせて伝えていました。
入社した理学療法士さんと今でもよく話すんですが、その工夫が受け取り手に上手く合っていたみたいです。
会社の見せ方と誰に向けて見せるかを
紹介会社にも分かりやすい通りを出せたのもポイントだったのかなと思いますね。」
大樹「どういう人が合いそうかっていう勘が、孝夫さんの中であったわけですよね」
孝夫「もちろんこれまでの経歴から勘所もありつつ、
医療の内情を知らないとと思ってたので漫画読んでましたね。あれは役に立ったと思います!」
大樹「業界の知見がない中での初回面談って難しそうだなと、その辺どう意識していたんですか?」
孝夫「最初は全部イエス。
理学療法士・作業療法士・言語聴覚士は それぞれ PT OT ST と称するんですけど、全部何が何か分からないでしょ?
僕も最初分からなくて、初めて聞いた後は帰って即勉強してました。」
大樹「共感することが大事な場面ってありますもんね。知ったかぶりとかではなく。」
支援を通じて得た学びや、支援者の真価は?
大樹「ちょっと不安、怪しいなと思っているものは、どこかで現実のものとなってくるんです。そういう芽は早めに摘んでおかないといけないというのはすごく学びました。」
孝夫「僕は、実態を知ることの大切さを痛感したっていうのもありますし。
例えば、普段から自社や業界、顧客のことを四六時中考えている経営者さんにとって、
僕はどうしてもスポットで現れた人物に見えるし、
スポットでパッと来て、前後関係や背景も知らずにそれっぽいアドバイスされるのって『逆の立場だとすごく嫌だな』と思って。
僕よりはるかに経営者さんの方が事業への理解が深く、僕が思い付くことはもう既に思い付いている。その前提と経営者さんに対する尊敬を忘れないからこそ、もう一段こうしたらいいんじゃないかは口に出さず、
もう1回飲み込んで、もう1回考えて、提案するようにしてます。」
孝夫「クライアントさん一人では思い付かなかったソリューションやアクションを、僕らは絶対に思い付かないといけない。
その意識を持ってプロとして仕事をしているので、思考を深めることを忘れてはいけないと思います。」
これからの支援現場で意識していきたいポイントは?
孝夫「『予算これぐらいで採用したい、どうしたらいい?』『じゃあそれ用の求人票書いて』とかは、AI で出来てしまうようになってきている中で、支援者側がどう価値を出していくか。」
大樹「これから特定の業界に絞っていくわけでも、全く同じノウハウをどこかで展開できるわけでもない。
そうなった時に、結局はクライアントと一緒に試行錯誤するのが重要だと思っています。
そこで僕らは試行錯誤の ”資産” を溜めて、資産を通して新たな視点を提供すること、
その上で試行錯誤の速度を上げていくことが価値になるのかなと。
この業界はこうやれば上手くいくなんて、そんな単純なものはないんですが、
ゴールに近付ける提案を出来ないといけないし、していきたいと思っています。
吉松孝夫 経歴インタビューcoming soon..
2014年に早稲田大学卒業後、イベント・SP・マーケティング企業に就職。その後人材会社にて中途採用支援に携わり、セールスチームのプレイングマネージャーを務める。2021年に地方創生事業を展開する株式会社SASIに入社、
2023年に子会社株式会社micataの取締役社長に就任。
野々大樹
大阪出身。大学では海洋生物学を専攻し、新卒で上京。
入社したIT企業にて4年間営業職を経験。その後広告代理店にてデジタルマーケティング部門立ち上げを担当。広告運用やコンテンツマーケティングなどデジタル販促全般を経験。2020年6月農業系スタートアップに転職、マーケティング担当と九州全域の代理店営業を兼務し、 大手代理店への販路開拓を実現。
2021年7月より、中小企業の新規事業やECサイト、飲食店・ジム等のマーケティング支援業務を開始。
2023年1月より個人事業主として独立。